
コンサルティングの経験豊富なFPが、これまで受けた家計相談をもとに家計管理で重要な「貯蓄」のコツについて、わかりやすく解説します。
※記事内容はハーモネート掲載当時のものです。
目次
- 01. Q1.家計簿はつけるべき?
- 02. Q2.お金は夫婦のどちらが管理すべき?
- 03. Q3.小遣いは定額?それとも必要な時に渡す?
- 04. Q4.生活費が知らないうちに増えてしまう…
- 05. Q5.貯蓄だけではなく、投資もすべき?
SECTION 01
Q1.家計簿はつけるべき?
A.きちんと貯蓄できていれば不要です
家計簿はつけることが目的なのではなく、家計の実態を把握し、将来に備えるためのもの。ですからきちんと貯蓄できていれば、必ずしも家計簿は必要ありません。年収や状況にもよりますが、例えば夫が会社員で妻が専業主婦またはパートの場合、年間100万円を貯められれば上出来。下図のように月割りでもボーナス時を組み合わせても構いません。まずは定額を貯めることが基本です。
また、正社員の共働き世帯などはそれ以上の額を目標に。反対に100万円は無理という家庭でも、「決まった額を計画的に貯めていく年間プラン」を立てることが大切です。残ったら貯蓄、では貯まりません。先取り貯蓄を心がけ、残金でやりくりする習慣を。
年間100万円貯蓄するには…
月割りで貯める場合
8万3,000円/月×12=102万円
ボーナス時の貯蓄と組み合わせる場合
5万円/月×12+20万円/ボーナス時×2=100万円
貯まらない夫婦の特徴は…
先取り貯蓄ができそうにない家庭は、下記を参考に対応を考えてみてください。

SECTION 02
Q2.お金は夫婦のどちらが管理すべき?
A.どちらが、というより別々だとお金が貯まりにくいようです
妻が管理しているケースが多いとは思いますが、管理者はどちらでも構いません。夫でも妻でも、金銭管理が得意な方が担当するといいでしょう。
ただ財布が別々の夫婦は、お金が貯まりにくい傾向にあります。できれば財布は一つにまとめて管理する方が、収入と支出の実態を把握しやすいでしょう。ただしQ1でお答えした「計画的な貯蓄」ができているなら、夫婦それぞれの別財布になっていても大丈夫です。

SECTION 03
Q3.小遣いは定額?それとも必要な時に渡す?
A.貯めている家庭は「定額」を選んでいます
必要なときにその都度もらっていると、いくら使っているか把握しにくくルーズになりがちなので、小遣い額は決めておくほうがいいでしょう。
また、小遣いの適正額をよく聞かれますが、職種、立場、どこまでを小遣いに含むかなどによっても違うので、一概には言えません。20代後半から30代で年収が500万円前後、子供が未就園児~中学生くらいなら、月に2~3万円が一つの目安です。

SECTION 04
Q4.生活費が知らないうちに増えてしまう…
A.「増えていくのは仕方がない」前提で備えを
人は誰しも「より豊かな暮らし」を求めますので、歳を重ねるにつれて生活費は徐々に増えていくのが一般的です。過剰に心配する必要はありませんが、「毎月の貯蓄ができない」「ボーナスはほとんど無くなる」といった生活に陥っている方は、できる節約から手を付けていくと良いでしょう。
現在加入している生命保険のプランを見直す、携帯電話のプランを変更するなどが取り組みやすいようです。
また『食費を1割削減』『お小遣い1割削減』と、数値目標を立てて生活費を削減し、その分を貯蓄に回しているというご家庭もありますのでご参考に。

SECTION 05
Q5.貯蓄だけではなく、投資もすべき?
A.リスクはありますが、今は投資しやすい環境です
※2020.6 時点の記事のため環境が変動している可能性があります
老後2000万円問題もあり、少しでも資産は増やしておきたいところです。新型コロナウイルス(COVID―19)で影響を受けているように、株式市場が低迷する時期もあるので、資産運用や投資に関しては長期的に考えることが必要です。
よく質問があるNISAとは「少額投資非課税制度」のこと。
従来の投資信託なら利益に対する税率は20.315%ですが、NISAなら最長5年、毎年120万円までの投資から得られる利益が非課税になります。もちろんこれだけで老後問題を解決できるわけではありませんし、元本割れのリスクもありますが、現状の銀行金利の低さを考えると、長期的な視点を持てるのならば検討の余地はあると思います。
NISAのメリット① 売却益が非課税

NISAのメリット② 配当金・分配金が非課税

(CFPファイナンシャルプランナー・1級ファイナンシャルプランニング技能士)
大手住宅メーカーで10年間、注文住宅の販売に従事した後、FPに転身。住宅購入コンサルティング実績は2000組以上。保険の見直しや家計診断、セミナーや研修をてがける。