フラット屋根形状を活かした設置技術により
効率の良い発電と設置後の安心を追求
セキスイは、1997年のソーラー住宅販売開始以来、新築、リフォームを含めて約22万棟※を超える実績を積み上げてきました。中でもソーラーリフォームにおいては、取り付け工事やパネルの荷重が既存の建物性能に影響を及ぼさないための対策を施しながら、発電のために住宅それぞれの屋根形状やサイズを活かすことを追求。雨や雪、風などの影響を受けやすい屋外設置機器ならではの安全性や耐久性をはじめ、設置後の建物のメンテナンス性なども考え、お客様が長く、安心して使えるソーラーリフォームを提供しています。
※2022年3月末時点(リフォーム、集合住宅を含む)
セキスイハイムでは、フラット屋根が多く採用されています。今回はその特徴的な屋根形状を活かした独自のソーラーリフォーム技術をご紹介します。
浸水リスクを回避するために
オリジナルのパネル取付金具を開発
ソーラーパネルの設置には、屋根材に穴を開け、パネル固定用の架台となる桟を取り付ける方法がありますが、その場合は万が一の施工不良による屋根への影響も考慮しなければなりません。
屋根に穴を開けるということは、施工不良があった場合に浸水が懸念されます。具体的には、防水のためのコーキングが適切でない場合に、雨水が屋根の中に浸水してくるリスクがあり、実際にインターネットで「太陽光発電」「雨漏り」と検索すると、多くの事例をみることができます。
セキスイでは、浸水リスクを回避するために、屋根に穴を開けることなくパネルを確実に設置する方法を模索しました。そこで考えられたのが、屋根形状を利用した専用のパネル取付金具です。
セキスイハイムのフラット屋根は凹凸形状が特徴的な折版屋根です。※一部商品を除く
その形状を活かして屋根の凸部分を掴むような形状の軽量金具をボルトで固定する仕様を開発。それにより、屋根に穴を開けることなくソーラーパネルを設置することが可能になったのです。
この技術革新により、パネル取り付けのために屋根に穴を開ける必要がなくなり、当然ながら「穴から浸水する」というリスクはゼロになりました。また設置後、年数を経ても防水コーキングをやり直すというようなメンテナンスの負担が軽減されています。
パネル設置による
建物への荷重も軽減
屋根に穴を開けることによる防水性の課題とともに、ソーラーリフォームでは、既存の建物に重量のあるパネルを乗せることによる建物性能への影響も無視はできません。
住宅における積載荷重は、雪や風など様々な条件のもとでも建物が耐えられるよう荷重基準が建築基準法施行令第八十五条で定められています。
しかしソーラーリフォームでは、屋根自体の重さの他にソーラーパネルの重さも加わることになります。もちろんそれ自体で荷重基準値を超えることはありませんが、想定外の大雪や、台風などの強風、地震の大きな揺れにより建物へ負荷が加わることになります。
対して専用のパネル取付金具は、パネルを取り付ける際の荷重を減らすという効果も兼ね備えています。折板屋根の凹凸を活用し、直接取り付けることでパネルを乗せる架台が必要なくなり、その分の建物への荷重が軽減されたのです。また架台取り付けの作業自体が不要になることから、ソーラー設置の工期短縮や設置コスト軽減にもつながりました。
“特許技術”として認定された
ソーラーパネルの設置効率化
住宅の屋根は面積が限られるため、発電する電力をできるだけ増やしたいという場合にはソーラーパネルを効率よく設置することが求められます。セキスイでは、発電効率を上げる独自の取り組みも実施してきました。
そもそもフラット屋根の場合は、屋根のどの位置にパネルを設置しても効率よく光を受けられるメリットがあります。
さらにソーラーパネル一枚だけの発電効率を考えた場合、一般的には30度の設置角度が適しているとされています。
しかし実際には、お互いのソーラーパネルの影が影響を及ぼすことから、セキスイでは全方向から受光可能なフラットルーフの特性を最も活かせる角度として、設置角度を約10度に設定しています。
設置角度とともにソーラーパネルによる発電効率をより高めるためには、デッドスペースを減らしパネルを無駄なく配置することが重要です。当時のソーラーパネルの標準サイズは1,200mmですが、セキスイハイムの折版屋根に取り付ける場合、凹凸の間隔に合わせにいくと1,350mmごとにパネルを設置する計算となります。つまり、1枚ソーラーパネルを取り付けると隣のパネルとの間に150mmの隙間ができ、その分のスペースが無駄になってしまいます。
その課題に対しセキスイが取り組んだのは、様々なパネルサイズや取付角度にフレキシブルに対応できる新たな専用固定金具の開発でした。
開発初期の専用のパネル取付金具に改良を加え、折版屋根の凹凸のピッチに柔軟に対応して設置できるようにしました。
さらにこの設計は、折版屋根の波板の向きに対して、90度回転してパネルを設置することも可能とし、敷地に建つ建物の向きと太陽の方角に対してもフレキシブルに対応できるようになったのです。
その結果、屋根の面積や方位に合わせた効率の良い発電を行うことが可能になりました。
加えてセキスイは、発電効率向上のためパネルサイズも今後変化していくことを想定し、専用のパネル取付金具だけでなくパネル側にも改良を施すことで、さらなる効率化に取り組めるのではと考えました。
パネルに複数の穴を設け金具取付位置の自由度を高めることで、パネル間のデッドスペースを減らし、効率的な設置を実現する仕様を発案。賛同したソーラーパネルメーカーとともに一から開発を行い、新しいソーラーパネルを完成させたのです。
この設置技術は2002年に特許を取得。その後もソーラーパネルの進化にあわせ、金具や設置方法も改良を加えていきながら、現在では当時に比べ、より多くのパネル搭載が可能となっています。
設置後の安全性を担保するために
独自の実証実験を繰り返す
セキスイがリフォームで採用するのは、JIS規格により品質が担保されたソーラーパネルです。もちろんソーラーパネルメーカーでもパネルの耐久性や耐候性は検証しているため、ソーラーパネル自体の品質は保証されています。
しかし、設置することによる建物への影響を評価する公的な基準はありません。
だからこそセキスイでは、ソーラーリフォーム後に、風、雪、地震などの外的要因が加わっても建物強度が独自で定めた基準以上に保てるかという検証と実証実験をソーラーパネル採用時に行っています。
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セキスイはソーラー住宅のリーディングカンパニーとして、太陽光発電の効率化に取り組んできました。セキスイが提供するソーラーリフォームでは、既存の建物になるべく影響を及ぼさない工法を追求し、柔軟な発想による新技術の開発を推進。お客様に今お住まいの住宅で、長く安心して太陽光発電によるメリットを享受していただけるよう、施工品質の維持と向上に努め、さらにご満足いただけるソーラーリフォームを提供しつづけてまいります。